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男たちによる

手作り居酒屋

大屋町加保

居酒屋「高虎」

    ある秋の夜長。大屋町加保地区の公民館前には「おでん」の提灯が点いていた。中を覗いてみると、小さな屋台に手書きのメニュー、手作りの電飾で雰囲気ばっちりの居酒屋が出来上がっていた。今日は、年一回、加保に突如として現れる居酒屋「高虎」オープンの日。店主はこの地区の50〜60代の酒好き男性5人組だ。

   「加保では毎年10月の第3日曜日に秋祭りがあって、その前夜、宵宮にみんなが寄れる場所を作ろうと始まったのが、この居酒屋です」と話すのは店長の杉本彰洋さん。なんと今年で開店11回目になるという。

 屋台からどんどん売れていくのはメンバーが愛情込めて手作りしたおでん。クックパッドをバイブルに、前日から仕込んだ自信作だ。めちゃくちゃ分厚いダイコンにも味がよく染みていて絶品だった。中には、鍋を持って来て、大量にテイクアウトしていくお客さんまでいるほど。厨房では、メンバーの男性陣が自分たちも酒を飲みながら、忙しく、でも楽しそうにおでんをよそっている。美味しいおでんに、お客さんのお酒もいつの間にか進んでいく。

 厨房近くの席では、一回目からの皆勤賞メンバーがお喋りを楽しんでいた。

「この辺には歩いて行ける居酒屋がないでしょう。皆、毎年この日を待ち焦がれてるんだ」と話すのは長老の山本弘毅さん。同じく常連の島村みさ子さんは、「料理に不慣れな男性だけでやってるところが気に入っている」そうだ。こんな風に、この日を楽しみにしている人は他にもたくさんいる。

「儲けはなし。でもそれでいい。美味しいお酒を皆で飲んで、喜んでもらえたら嬉しい。地域の人とコミュニケーション取れるのが楽しい」と、杉本さん。

 忘れかけていたが、これは秋祭りの前夜祭。景気付けに一杯!これで祭りも盛り上がったに違いない。

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