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トントン!コンコン!

大屋の木彫

木彫家

松田 一戯

 「大屋には芸術家がたくさんいるなあ」。東京から引っ越してきて感じる大屋の印象だ。画家に木彫家、書道家に現代美術家……。町内ではそういった人たちが主催するイベントがあったり、ワークショップが開かれたり。行きたい催しが多く、飽きない町だなあと日々思う。

 でも、大屋に芸術家が集まるようになったのはここ最近のこと。アートでまちを元気にしようという動きが大屋で始まったのが2010年。そもそもこういった動きのきっかけになったのが、木彫家の松田一戯さん(72歳)なのだという。

 松田一戯さんは、大屋の木彫家であり大屋に木彫を定着させた人。大屋ではいたるところで木彫を見ることができる。役場、学校、町の入り口、はたまた個人のお宅の玄関にも!学校では木彫体験の授業もあると聞く。町の景色や人の生活に木彫が当たり前のように馴染んでいる。松田さんが木彫を始めたのは26歳の時。当時、この辺に木彫家は一人もおらず、独学で木にノミを入れ始めたという。数年後には、「但馬木彫」というグループを作り、全国各地で展覧会を開き、知名度を上げた。

 94年には木彫の公募展「木彫フォークアートおおや」が始まり、町民に木彫を知ってもらうきっかけになった。フォークアートとは、人々の生活に入り込んだアートという意味。公募展では、松田さんの作品スタイルの一つでもある、両手で抱えられるくらいのサイズの、招き猫や干支、お雛さまなどを参考に、人の家に気楽に飾れるような親しみやすい作品を集めて展示しようとなった。

 その後、公募展は毎年続く恒例行事になり賑わいをみせたり、フォークアートに魅せられた町内外のファンが自分の作品を作るグループを結成したり。このような松田さんの活動がきっかけで、アートで町を元気にしようという動きが大屋で出てきたのだ。

 「一戯さんがいてくれたから私たちは大屋で活動できています」。大屋に移住してきた芸術家何人からも聞いた話。いろんな芸術家が引き寄せられる大屋町。今後さらに盛り上がりをみせそうだ。

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